以前、日本テレビの番組内で伊藤みどりさんが話した羽生選手について。
技術はとびぬけていると表現?したうえで(おでこに羽生結弦パネルをぺたりと貼ってとびぬけた様を表現)、「羽生選手は技術だけではなくて運もある」と評していました。
「運」__ただこれだけを聞くと、技術は置いておいて本当に神風が吹いたの如く運だけで来たイメージで捉えられがちとなる。それはなぜだか、実力もないのに、というイメージで誤解されがち。(伊藤みどりさんは技術について述べた上での「運」と言ったわけだけれど)
いつかのオリンピックでのショートトラックだったか、ライバル全員が転んで最後に走った選手が優勝したことがあったけれど、それももちろん運だけれど、まず代表として選手になっていること自体運だけじゃないことは考えてみたらわかるはず。
フィギュアスケートは競技人生が短いスポーツで、何年もトップであり続けることはとても困難。どの選手も勝ったり負けたりしながらも、それでもトップ選手がトップを走り続けることは難しく、ケガも多い。そんなスポーツでオリンピック2連覇をするということは本当に驚異的なことです。
ましてやことのスポーツは、実力が一番ある選手が優勝するとは限らないスポーツです。優勝当確と言われた選手がオリンピックで魔物にあったり、直前にケガをしてしまったり、オリンピックのシーズンに限ってタイミングよく勢いのある若手がどんどん迫ってしまうとか…。
上のビデオによると、カートブラウニングもストイコもオリンピック直前でけがをしてしまったそうです…。カートなんて何度も世界選手権で金メダルを取ったレジェンドなのにオリンピックでメダルを一度も取れませんでした。最後のリレハンメルではショートで大失敗。フリーで巻き返しましたがメダルに届かず。平昌のネイサンを見て、かつての自分と重ねたかもしれません。
そしてまた、オーサー本を読んでわかったことでもあるのですが、ピーキングが重要なスポーツでもあります。オリンピックの試合に自分にとってしっかりとそこに合わせてくるということ。これが大事なことだと。オリンピックは通常の試合と雰囲気などが違いますから、ピーキングをうまく合わせるのが初出場の場合は難しいかもしれませんし、選手個人の精神的なものも関係あるでしょう。
伊藤みどりさんも金メダル確実と言われながらも、オリンピックに合わせられませんでした。実力のほとんどを出すことができませんでした。トリプルアクセルをオリンピックで決めることはできましたが、優勝できなかったことはもしかしたら長い間苦しんできたのかもしれません。そんな彼女が言う「運」というのはとても重たい、重要な言葉です。
みどりさんだけじゃなく、「あの演技がオリンピックでできていれば!」と歯がゆく思う選手は山ほどいます。フィギュアだけじゃなくてほかのスポーツでも…。それだけ、大舞台でベストな演技をする難しさがあります。
日テレeveryで語った羽生選手の平昌五輪について
12月28日、7月に収録された内容で、羽生選手自らが平昌五輪について語りました。
チーム・ブライアン 新たな旅でオーサーが語ったことと合わせるとさらにムネアツなのですが…。
そもそも、五輪前に大きなけがを負ってしまうことは、最大の不運です。運がいいという以前に最大の不運がタイミング悪く襲ってきました。そもそも、羽生選手は6分間練習で他選手と衝突してしまったり、シーズン中に開腹手術をしなければいけなくなったり、ケガも病気も多く、ほかの選手よりもそれだけで運が悪いとも言えるのです。
平昌五輪直前の1月でもまだ痛みがあり、平昌へ出発する前日にやっと4回転ループまで戻せたと…。それが羽生選手の勝利への確信でもありましたし、もしそのタイミングが1日でも後にずれていたら羽生選手の金メダルはなかったかもしれません。
そして、6分間練習でサルコウがまったくはまらなかったこと…(リアルタイムで見ていた時は私は気づかず)。できなかったときにイメージトレーニングや論文などの知識などできる限りやりつくしたことがはまらない絶望感と、本番まではジスランコーチへ頼り、最後は自分を信じました。本番でサルコウを2回きちんと決めることができたのは、本人の強い精神力と、そして一か八かの運が味方したのかもしれません。
当時の私はそんな羽生選手をまったく想像だにせず、羽生選手のファンにはまだなってませんでしたから、もっと楽観視していました。平昌に到着した羽生選手が独特のオーラをまとって「二連覇したい」と話し、インタビューでは「クリーンにやれば絶対に勝てる」発言をしたこと。オーサーが「羽生をなめるな」発言をしたこと。連日の報道がずっと羽生選手を優勝候補として扱ってきたこと。かつて柔道の古賀俊彦もけがを押しての金メダルを取ったことを思い出しながら、羽生選手が勝つものだとただの視聴者の私はすっかりと魔法をかけられていました。
そして忘れてはならないのは、羽生選手が冬季オリンピックで1000個目の金メダルを取ったこと!これは確実な運!努力ではどうにもならない!こういうのも全部ひっくるめて、羽生選手は「持ってる」という印象が多くの人にあると思います。
羽生選手が見ていた論文
パソコンで見ていた論文は、吉岡先生のダブルアクセルの測定に関する論文でした。1枚にまとめられていて概要なのかこれだけなのかは定かではないですが…。
めっちゃ簡単に読むと、「2点にカメラを構えてダブルアクセルの測定をした。被験者は14歳の女子選手M.I。データによるとジャンプの滞空時間は0.68秒、飛距離は2.94m、跳躍高は0.82m、踏切時の速度は5.2m/秒、仰角31度でした。非常に優秀なジャンプ。」という内容。
M.Iって伊藤みどりさんでしょ!年齢14歳、世界選手権代表女子と書いてあってバレバレ。
全日本選手権⛸DAY3
女子フリーでは‼️ご好評頂いている“アイスコープ”が今日も大活躍の予定です💓
参考までにショートのジャンプ別に高さ、飛距離、着氷速度を数値の高い順に並び替えました✨
こちらも中継内でお楽しみください🙆♂️今日もみなさんガンバです💪🔥#figureskate #全日本選手権 pic.twitter.com/HlwoYntY3v
— 【公式】フジテレビスケート (@online_on_ice) 2018年12月23日
跳躍高0.82mが気になりすぎますがみどりさんならあり得る数字…。これを見て羽生選手は何を思ったのか?感想を聞いてみたいです。
当時14歳の伊藤みどりさん。アクセル82㎝と言われても納得できそう。