1992アルベールビル五輪 ライト層だったころ 伊藤みどり

ライト層だったころの記憶「アルベールビル五輪」

投稿日:2018年8月26日 更新日:

伊藤みどりさんを知ったのは中学生の頃だったと思う。いつの間にかもう国民的スターで、知らない人はいない状況でした。そしていつも一緒にいる山田満知子コーチも有名でした。

山田満知子コーチは今でこそ宇野昌磨くんに溺愛するおばあちゃんのようなコーチだけれど、伊藤みどりさんと一緒にいるときはスパルタコーチのイメージ。

やっぱりその頃はジャンプの種類の区別もトリプルアクセルのすごさもちゃんと分ってなかったので「凄いと言われてもよくわからない」が、フィーバーは感じていました。とくにニュースなどでしか見てない分、他の選手の演技をよく見てなかったから比べたことがあまりなかったのです。

よく見てなかったくせに、このころの日本全体がおそらく西洋コンプレックスみたいなのがあって、みどりさんは欧米人選手と比べるとスタイルが…みたいな風潮があったのは覚えています。芸能人とかも平気で言っていたような(今だと炎上するような…)。

そんな風潮もあったので、みどりさんは技術はスゴイが芸術点はいまいち、みたいな誤解が生まれて、多分今でもそれは誤解されたままであることは残念です。

みどりさん、芸術点悪くなかったんです!確かにカルガリー五輪までは、表現力がまだまだでした、しかしキャリア後半につれて表現力も見違えるように上達してきたんです!技術点が飛びぬけて凄いので、それに比べると確かに劣りますが、0.1~0.2下がる程度ですし、他のトップ選手とそん色はありません。

アルベールビル五輪、ショートでまさかの失敗

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アルベールビル五輪でのショートは、翌日のニュースでルッツに転倒したことを知りました。

今の新採点方式だと、ショートで失敗してもフリーで神演技をして逆転することは可能ですが、あの頃はほぼ不可能だったんですね。

1回目に飛んだトリプルアクセルは失敗、後半2回目に飛んだトリプルアクセルは成功。ルッツがダブルになってしまった失敗には気づきませんでした。「トリプルアクセル成功!」この実況と興奮はとても覚えています。

クリスティ・ヤマグチさん、日本人じゃなくて残念

これまで冬期オリンピックで日本人女性が金メダルを取ったことがありませんでした。優勝したクリスティ・ヤマグチは、ヤマグチなのに何で日系アメリカ人で、日本人じゃないんだ、と日本人であればよかったのにと思ってました。

伊藤みどりさん、銀メダル

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私はあの時、みどりさんが銀メダルを取れたことをとても嬉しく思い、興奮しました。

日本人はなかなか金メダルを取るのは難しいというのは知っていたので、銀でも銅でもメダルが取れたらものすごい!と思ってました。

なので後にスケート連盟が「みどりは金メダルを取れたはずなのに」とニュースかなんかで言っていたの見て、その時は「なんて失礼な」と思っていました。

でも、そういう風に言ってしまうのは今になると分かるような気がします。あんな天才はもう2度と出てこない…。それなのに…という気持ち。

あの時、みどりさんがオリンピックの重圧で苦しんでいたことは知りませんでした。トリプルアクセルは今までやすやすと決まっていたのに、オリンピックを迎えてから一気に不調になってしまったこと。得意のルッツも飛べず、3-3もできなかったのでした。

どうしても私のようなライト層にはオリンピックの映像のみがインプットされやすいので、「みどりさん=アルベールビル五輪」みたいな感じになりがちです。なのでみどりさんはいつもアルベール五輪のような演技をするのだと思っていました。後半のトリプルアクセルからフィニッシュまでは、みどりさん本来の演技ですが、それまでは呪いにかかったようでした。本当の実力はこんなもんじゃなかったのに。

だから、私がみどりさんの鳥肌立った極上のルッツや3-3に長らく気づかずにいたんですよね…。

しかしながら、ライト層はよほどのきっかけでもない限りわざわざ行動を起こして世界選手権などの映像は見ない。どんなに神演技が過去にあろうと、知らないまま。

テレビとかで取り上げられたりしない限り、それもYoutubeが出てきてから…じゃないとなかなか。だから、私みたいなライトな人がみどりさんのすごさに気づくまでに30年近くかかることに…。

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