4回転は跳ばないけれどアーティスティックな男子選手のジェイソン・ブラウン(アメリカ)と勢いナンバーワンのファイナル女王の紀平梨花。
紀平梨花のようなトリプルアクセルをショートとフリー合わせて3本入れる女子は他にはいません。ショートとフリーで2回入れるエリザベータ・トゥクタミシェワはいますが、すでに情報番組などで比較されているので、あえて男子のジェイソンと比較してみたいと思います。この二人の構成レベルはおそらく似ていると思いますので。
今シーズンのショートとフリーのそれぞれのベストスコア同士で比べます。(大会の違うそんな比較しても、とは思いますがただのネタですので…。)
ショートの比較
紀平梨花のグランプリファイナルショート
82.51 (TES47.36 PCS35.15)SS8.86 TR8.46 PE8.96 CO8.82 IN8.82
ジェイソンのフランス杯ショート
96.41 (TES50.69 PCS45.72)SS9.04 TR9.00 PE9.25 CO9.14 IN9.29
紀平梨花とジェイソンのショート得点比較
紀平梨花のPCSは男子換算1.0をかけた数字で比較したのが()書きの数字です。
Name | TSS = |
TES + |
PCS + |
SS | TR | PE | CO | IN | Ded. - |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
紀平梨花 | 82.51 (91.28) |
47.36 | 35.15 (43.92) |
8.86 | 8.46 | 8.96 | 8.82 | 8.82 | 0.00 |
Jason Brown | 96.41 | 50.69 | 45.72 | 9.04 | 9.00 | 9.25 | 9.14 | 9.29 | 0.00 |
ショートでの点数比較では、TESでは3.33 PCSでは1.80(男子換算)ジェイソンが上回っています。
紀平梨花とジェイソンのショートジャンプ比較
続いて、ショートのジャンプを比較します。実は二人はジャンプは全く同じで、後半に持ってくるジャンプに差が少しあります。
紀平梨花が3A、3F+3T、後半に3Lzという構成で、ジェイソンは 3F、3A、後半に3Lz+3Tです。ジェイソンは後半にコンビネーションを跳んでいるので、1.1倍に増えた3Tの基礎点数分が少し差になります(4.62-4.2=0.42)。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
ジャンプ | 基礎点 | GOE | 得点 | ジャンプ | 基礎点 | GOE | 得点 |
3A | 8.00 | 2.51 | 10.51 | 3F | 5.30 | 2.50 | 7.80 |
3F+3T | 9.50 | 1.74 | 11.24 | 3A | 8.00 | 2.51 | 10.51 |
3Lz | 6.49X | 2.36 | 8.85 | 3Lz+3T | 11.11X | 2.19 | 13.30 |
合計 | 23.99 | 6.61 | 30.60 | 合計 | 24.41 | 7.20 | 31.61 |
梨花ちゃんとジェイソンの3A点数同じ!基礎点はジェイソンが0.42、そしてGOEは0.59、ジャンプの総得点は1.01上回っています。
紀平梨花とジェイソンのショートスピン比較
3種類のスピンを比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
スピン | 基礎点 | GOE | 得点 | スピン | 基礎点 | GOE | 得点 |
FSSp2 | 2.30 | 0.59 | 2.89 | FSSp4 | 3.00 | 1.03 | 4.03 |
CCoSp4 | 3.50 | 1.35 | 4.85 | CCoSp4 | 3.50 | 1.35 | 4.85 |
LSp4 | 2.70 | 1.08 | 3.78 | CCSp4 | 3.20 | 1.37 | 4.57 |
合計 | 8.50 | 3.02 | 11.52 | 合計 | 9.70 | 3.75 | 13.45 |
紀平梨花とジェイソンのCCoSp(チェンジフットコンビネーションスピン)点数同じ!基礎点はジェイソンが1.20、そしてGOEは0.73、スピン全体の総得点は1.93上回っています。
紀平梨花はFSSp(フライングシットスピン)でレベルをおとしたため、同じスピンでジェイソンと1.14の得点差がつきました。3つ目のスピンは紀平梨花がLsp(レイバックスピン)を採用し、ジェイソンはCCSp(チェンジフットキャメルスピン)を採用。
※ショートプログラムでは男女それぞれ採用するスピンに違いがあり単純比較はできないのですが、あくまで参考まで。(ルールはJsportsのこちらのページより)
紀平梨花とジェイソンのショートステップ比較
ステップを比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
ステップ | 基礎点 | GOE | 得点 | ステップ | 基礎点 | GOE | 得点 |
StSq4 | 3.90 | 1.34 | 5.24 | StSq4 | 3.90 | 1.73 | 5.63 |
二人ともレベル4を獲得。ジェイソンは4人のジャッジから5の評価をもらっており、高いGOEです。
紀平梨花とジェイソンのショート得点比較
これまでを踏まえ、ジャンプ、スピン、ステップとPCSの得点を比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
要素 | 基礎点合計 | GOE合計 | 得点 | 要素 | 基礎点合計 | GOE合計 | 得点 |
ジャンプ | 23.99 | 6.61 | 30.60 | ジャンプ | 24.41 | 7.20 | 31.61 |
スピン | 8.50 | 3.02 | 11.52 | スピン | 9.70 | 3.75 | 13.45 |
ステップ | 3.90 | 1.34 | 5.24 | ステップ | 3.90 | 1.73 | 5.63 |
TES合計 | 36.39 | 10.97 | 47.36 | TES合計 | 38.01 | 12.68 | 50.69 |
SS | 8.86 | SS | 9.04 | ||||
TR | 8.46 | TR | 9.00 | ||||
PE | 8.96 | PE | 9.25 | ||||
CO | 8.82 | CO | 9.14 | ||||
IN | 8.82 | IN | 9.29 | ||||
PCS合計 | 35.15 (43.92) |
PCS合計 | 45.72 | ||||
総合計 | 82.51 (91.28) |
総合計 | 96.41 |
まとめると、紀平梨花はジェイソンにジャンプやスピン、ステップで少しづつ差がある形で、PCSもそれぞれの項目で少しづつ点差がある形です。それだけジェイソンの満点に近いスコアも驚異的なのですが、紀平ちゃんにもそこまでの伸び代があるということにもなります!ちなみに、ジェイソンのPCSを女子換算すると36.57です。それほど大きな差でもないですよね。
フリーの比較
紀平梨花のNHK杯フリー
グランプリファイナルも良かったのですが、ノーミスだった方のNHK杯で比べてみます。
154.72 (TES87.17 PCS67.55)SS8.50 TR8.25 PE8.50 CO8.54 IN8.43
ジェイソンのゴールデンスピンフリー
一箇所アテンションがついたのが惜しいですが、ノーミスに一番近いゴールデンスピンのスコアです。
167.92 (TES78.52 PCS89.40)SS9.05 TR8.90 PE8.80 CO8.95 IN9.00
紀平梨花とジェイソンのフリー得点比較
紀平梨花のPCSは男子換算2.0をかけた数字で比較したのが()書きの数字です。
Name | TSS = |
TES + |
PCS + |
SS | TR | PE | CO | IN | Ded. - |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
紀平梨花 | 154.72 (171.61) |
87.17 | 67.55 (84.44) |
8.50 | 8.25 | 8.50 | 8.54 | 8.43 | 0.00 |
Jason Brown | 167.92 | 78.52 | 89.40 | 9.05 | 8.90 | 8.80 | 8.95 | 9.00 | 0.00 |
フリーでの点数比較では、TESでは8.65紀平梨花が上回り、 PCSでは4.96(男子換算)ジェイソンが上回っています。
紀平梨花とジェイソンのフリージャンプ比較
フリーのジャンプを比較します。二人とも3Aが最高難度の構成です。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
ジャンプ | 基礎点 | GOE | 得点 | ジャンプ | 基礎点 | GOE | 得点 |
3A+3T | 12.20 | 2.63 | 14.83 | 2A | 3.30 | 0.86 | 4.16 |
3A | 8.00 | 3.09 | 11.09 | 3A+2T | 9.30 | 1.92 | 11.22 |
3Lo | 4.90 | 1.54 | 6.44 | 3S | 4.30 | 1.03 | 5.33 |
3Lz+2T | 7.20 | 1.69 | 8.89 | 2Lo | 1.70 | 0.31 | 2.01 |
3F | 5.83X | 1.59 | 7.42 | 3A+2T+2Lo | 12.10X | 1.12 | 13.22 |
3Lz+2T+2Lo | 9.79X | 1.26 | 11.05 | 3F+3T | 10.45X | 1.48 | 11.93 |
3S | 4.73X | 1.17 | 5.90 | 3Lz! | 6.49X | 0.00 | 6.49 |
合計 | 52.65 | 12.97 | 65.62 | 合計 | 47.64 | 6.72 | 54.36 |
ジェイソンの3A+2Tは本当は3Tにしたかったのかも。そして2ループは3ループの予定が抜けてしまったものと思われます。それだけで基礎点が2.90と3.20(合計6.10)損しています(ジェイソンの予定構成の探し方がわからないので推測です)。
ジェイソンは2Aのところに4Sを予定してたはずなんですが、辞めて2Aにしてきました。試合に入れるのを今は諦めてるっぽいですね…。そして紀平梨花は3Aと3Lzを2回ずつ組み込んでいます。これは普通の女子では敵わない構成です…!
紀平梨花はジェイソンに比べて基礎点が5.01、GOEが6.25、ジャンプ全体で11.26上回っています。
紀平梨花とジェイソンのフリースピン比較
3種類のスピンを比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
スピン | 基礎点 | GOE | 得点 | スピン | 基礎点 | GOE | 得点 |
CCoSp4 | 3.50 | 1.30 | 4.80 | FCSp4 | 3.20 | 1.34 | 4.54 |
LSp4 | 2.70 | 0.93 | 3.63 | FCCoSp4 | 3.50 | 1.19 | 4.69 |
FSSp4 | 3.00 | 0.69 | 3.69 | CCoSp4 | 3.50 | 1.54 | 5.04 |
合計 | 9.20 | 2.92 | 12.12 | 合計 | 10.20 | 4.07 | 14.27 |
紀平梨花とジェイソンのCCoSp(チェンジフットコンビネーションスピン)は同じですが、GOEはややジェイソンが上回りました。スピン全体で2.15ジェイソンが得点を上回っています。
紀平梨花とジェイソンのフリーステップ比較
ステップを比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
ステップ | 基礎点 | GOE | 得点 | ステップ | 基礎点 | GOE | 得点 |
StSq4 | 3.90 | 1.17 | 5.07 | ChSq1 | 3.00 | 2.20 | 5.20 |
ChSq1 | 3.00 | 1.36 | 4.36 | StSq3 | 3.30 | 1.39 | 4.69 |
合計 | 6.90 | 2.53 | 9.43 | 合計 | 6.30 | 3.59 | 9.89 |
ジェイソンはステップシークエンスでレベルを落としましたが、コレオで高いGOEを獲得したため、ステップの合計は紀平梨花を0.46上回りました。
紀平梨花とジェイソンのフリー得点比較
これまでを踏まえ、フリーのジャンプ、スピン、ステップとPCSの得点を比較します。
紀平梨花 | ジェイソン・ブラウン | ||||||
要素 | 基礎点合計 | GOE合計 | 得点 | 要素 | 基礎点合計 | GOE合計 | 得点 |
ジャンプ | 52.65 | 12.97 | 65.62 | ジャンプ | 47.64 | 6.72 | 54.36 |
スピン | 9.20 | 2.92 | 12.12 | スピン | 10.20 | 4.07 | 14.27 |
ステップ | 6.90 | 2.53 | 9.43 | ステップ | 6.30 | 3.59 | 9.89 |
TES合計 | 68.75 | 18.42 | 87.17 | TES合計 | 64.14 | 14.38 | 78.52 |
SS | 8.50 | SS | 9.05 | ||||
TR | 8.25 | TR | 8.90 | ||||
PE | 8.50 | PE | 8.80 | ||||
CO | 8.54 | CO | 8.95 | ||||
IN | 8.43 | IN | 9.00 | ||||
PCS合計 | 67.55 (84.44) |
PCS合計 | 89.40 | ||||
総合計 | 154.72 (171.61) |
総合計 | 167.92 |
フリーでは紀平梨花がジャンプでジェイソンを10点以上リードするものの、スピンとステップはジェイソンが合わせて2.5ポイント近く上回りました。PCSもジェイソンが優位です。しかし、合計すると男子換算で紀平梨花がジェイソンを約3.7ポイントほど上回りました。
紀平梨花とジェイソンの強引な比較まとめ
どうせならショートとフリー合計して比較してみようと思いましたが、別々の大会でのショートとフリーを比較しているのでそれを合わせるのはどうか…。と思い辞めました。
でも、意外と接戦でしたね!
ショートはジェイソンが5点近く紀平梨花を上回りましたが、フリーではノーミスでまとめた紀平梨花のTESが驚異的でジェイソンを上回りました。ジェイソンもややミスがありノーミスとなったらほぼ同じくらいになるかもしれません。
紀平梨花はNHK杯の方がフリーの点数がいいのですが、グランプリファイナルで最初の3Aをミスした以外はPCSもいいので、本当のノーミスがまたできた時には160点近く出してくる可能性もまだあります。
まとめるのは大変でしたが少し楽しかったので、今度はゴゴレフくんとトゥルソワとか、比較してみたら面白いかなと思います。